ソリューション

脱炭素社会実現に向けた船舶によるCO₂輸送

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は地球温暖化対策における重要な技術であり、そのCCSバリューチェーンを一貫して想定する際、CO₂の排出地点の近傍に必ずしも貯留適地が存在するとは限らないため、CO₂の輸送技術の確立が不可欠となっています。CO₂の輸送方法としてはパイプラインや船舶の利用が挙げられますが、大量のCO₂を長距離輸送する場合には船舶輸送が経済的に有利とされています。特に我が国では、将来的に国内で排出されたCO₂を海外で貯留する必要性が高まっており、バリューチェーン全体の経済性を考慮すると、大型LCO₂輸送船による長距離・大量輸送手段の確立に大きな期待が寄せられています。

CO₂の大量・長距離輸送にLCO₂輸送船の利用は必要不可欠

CO₂の主な輸送手段として、パイプラインと船舶輸送があげられます。短距離輸送ではパイプラインがコスト優位性を有しますが、条件によるものの、300kmを超えるあたりからは船舶輸送が経済メリットを発揮すると見られています。例えば、欧州や日本ではLCO₂輸送船でCO₂を輸送し、貯留するプロジェクトが複数計画されています。

輸送コスト比較「輸送船 VS パイプライン」

パイプラインと船舶輸送の輸送コストを比較したグラフ
パイプラインと船舶輸送の輸送コストを比較したグラフ

出典:METI Report "Circumstances surrounding CCS" 2017

三菱造船が提供するLCO₂輸送船向け
カーゴハンドリングシステム

三菱造船は、LNG輸送船やLPG輸送船といった液化ガス輸送船の豊富な設計・建造実績を有しており、それらで培った低圧液化ガスハンドリング技術を応用したLCO₂カーゴハンドリング技術を開発し、エンジニアリングもしくは製品として提供します。 

LCO₂カーゴハンドリングシステム構成設備

大型のLCO₂タンクを開発

三菱造船は、大型のLCO₂タンク実現に向けた技術開発を進めています。 大型LCO₂タンクの製造において、通常、溶接部には溶接後熱処理(PWHT)が必要となりますが、大型タンクを収容できる熱処理炉は限られるため、この製造プロセスがタンクの大型化・量産化の障壁となっています。この課題に対し、三菱造船は、ECA(Engineering Critical Assessment)と呼ばれる溶接部の健全性評価を実施し、その評価結果に基づき、PWHTの省略技術について日本海事協会より一般設計承認(GDA)を取得しています。こうした新技術の開発により、大型LCO₂タンクの安全性を確保しつつ、経済性と生産性を両立し、LCO₂輸送のコスト削減に寄与していきます。

低圧LCO₂タンクの搭載イメージ  /  GDA証書

低圧LCO₂ハンドリング技術を開発

タンクの大型化を実現する為に、従来技術の中圧条件ではなく低圧条件での輸送を可能とする低圧LCO₂ハンドリング技術を開発しています。LCO₂が低圧条件となることで三重点に近くなり固体(ドライアイス)化や送液中の配管内が二相流化する可能性が増加しますが、各種検証を実施し、固体化および二相流化による影響を防止・回避する技術を開発しています。

CO₂状態図 / モデル試験

船級協会から標準3船型の設計基本承認(AiP)を取得

三菱造船が主体で基本設計をした低圧50,000㎥級および低圧23,000㎥級の液化CO₂輸送船について船級協会から設計基本承認(AiP)を取得しており、技術要件や安全性の基準を満たしていることが認められています。 当AiPは川崎汽船株式会社、株式会社商船三井、日本シップヤード株式会社、日本郵船株式会社、三井物産株式会社、三菱商事株式会社と共同で取得しました。 また、CO₂の内航輸送を想定した比較的小型サイズの低圧液化CO₂輸送船についても基本設計を実施し、日本ガスライン株式会社と共同で船級協会より設計基本承認を取得しています。 このように国内外の関連企業との協業を通じて、LCO₂輸送船の開発およびCCSバリューチェーンの構築を積極的に推進しています。

船級協会から設計基本承認(AiP)を取得

LCO₂輸送船

LCO₂輸送船について動画でご紹介します。(英語版動画のみとなります。ご了承ください。)

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