ケーススタディ

業界: 発電プラント, エネルギー(オイル&ガス・原子力), エンジニアリング

お客さまの課題

プラントの計画外停止や事故などを防ぐためにより高度な巡回点検が望まれる

2018年にイギリス近海のオフショアオイル&ガス施設で起きた事故約263件の約4割が、オイル/ガス漏れ(Hydrocarbon Releases)に起因し、日本に関しては、同年の高圧ガス関係の事故603件(石油関連以外の事故も含む)の約4割が設備の維持管理不良によるものです。これらの事故は、その復旧・対策費用やプラントの計画外停止による生産ロスなどで巨額の損害を生じさせる場合があり、平時の巡回点検で事前に異常や予兆を発見できれば防げる可能性があるものも少なくありません。 現在の人による巡回点検は、点検員の技量に左右される部分や見落とし等のミスも起こり得るほか、万が一のガス漏えい等の際に安全面のリスクがあると言えます。

HEALTH & SAFETY REPORT 2019
HEALTH & SAFETY REPORT 2019

広大な巡回点検エリアをカバーするための総合的なソリューションが必要

巡回点検の自動化・省人化において、固定式カメラやセンサは有用ではあるが、広大なプラント全体をそれらだけでカバーするのは技術的にもコスト的にも難しいです。「移動型センサ」である各種巡回ロボットを組み合わせた総合的な監視の実現が望ましいと考えられます。 その一方、階段を含む、狭く入り組んだプラント内を自動で走行し、人に変わって巡回点検を行えるような防爆型ロボットの開発ハードルは非常に高く、これまで実現していません。

階段を自動走行する防爆型ロボット
階段を自動走行する防爆型ロボット

巡回点検データなどのフィールドデータが設備保全へ活用できていない

巡回点検
巡回点検

巡回点検で収集する各種フィールドデータは、プロセスデータや定期点検記録等と組み合せて分析することで、プラントの異常予兆検知や運転の最適化等に役立てられる可能性があります。 しかし現状では、巡回点検の記録が紙のチェックシートに記入されたままデータ化されないケースも多く、十分に活用されているとは言い難い状況でした。

ソリューション

ソリューションのキーポイント

  • 防爆性能と、高い走破性・稼働率を有したプラント自動巡回点検ロボット“EX ROVR”を開発。プラント稼働中に自動化された点検作業が可能
  • EX ROVRによって点検の頻度・密度を上げ、プラントの計画外停止や事故・災害を未然防止する。点検データも設備保全の分析等へ活用
  • プラントにロボットを常駐させ、現場のルーティン作業を任せることで、人がより安全で付加価値の高い業務に従事可能

防爆性能と、高い走破性・稼働率を有したプラント自動巡回点検ロボット"EX ROVR"を開発。プラント稼働中の自律的な点検作業が可能

三菱重工は2014年度より、引火性ガス雰囲気内での作業を想定した遠隔操作型の陸上移動防爆ロボットの開発を進めてきました。その技術を利用して開発した、プラント巡回防爆ロボットが「EX ROVR」です。 高い走破性能を有し、階段昇降を含むマルチフロアを自動で移動。可視カメラ、熱画像カメラ、ガス検知器、マイク等を搭載し、可視画像、熱画像、ガス濃度などのプラント情報を自動で取得できます。 EX ROVRによって、プラント稼働中に自動化された巡回点検作業が可能になります。

EX ROVRの6つの主な機能
EX ROVRの6つの主な機能

EX ROVRによって点検の頻度・密度を上げ、プラントの計画外停止や事故・災害を未然防止する。点検データも設備保全の分析等へ活用

プラントの事故や災害などによる計画外の緊急停止は、ダウンタイムロスや事故対応・復旧費用等、多額の損失に繋がるため、できるだけ回避したい問題です。高経年化したプラント設備はもとより、異常の早期発見には点検の品質や密度の向上が一助となります。 EX ROVRはその課題解決を実現可能にします。 また、EX ROVRの各種センサやカメラで取得したデータを蓄積し、セキュアなプラットフォーム上で運転データなどと統合し分析することで、設備の異常予兆などをより早く正確に把握できます。設備保全の高度化につながり、アセットマネジメントという観点からもとても有用です。

EX ROVRの取得データ
EX ROVRの取得データ

プラントにロボットを常駐させ、現場のルーティン作業を任せることで、人がより安全で付加価値の高い業務に従事可能

ロボットと人間の役割分担
ロボットと人間の役割分担

巡回点検をEX ROVRが担うことで、人間はより安全な場所で、各種対策立案や改善活動といった、より付加価値の高い業務に従事できるようになります。また、洋上のプラットフォームなど、現場へのアクセスが簡単でない施設では、巡回点検ロボットを常駐させることでOPEX(Operating Expense)の削減も期待できます。このように、ロボットと人間とが役割を分担することで、設備運営における安全性、効率性を高めることが可能となるのです。

期待される成果

-今まで作業要員が行っていた巡回点検等の作業を、EX ROVRに置き換えることで、作業全体の効率化、ミス削減による精度の向上、コスト削減などを実現。ワンランク上の運用・メンテナンスが可能となります。 -作業要員のスケジュール等を考慮しなくても、必要な時に、必要な時間をかけて点検作業が行えるようになります。そのため、経年劣化による故障、不具合などの発見を早めることができ、事故を未然に防ぐことができます。

プラント巡回防爆ロボット「EX ROVR」
プラント巡回防爆ロボット「EX ROVR」

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